2011年12月01日

ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」

このエントリーをはてなブックマークに追加 

Trying to focus...
Trying to focus... / Ev0luti0nary


会社と自分の関係をどう捉えるのか?

先日、一般社団法人くまもと教育プロジェクトさん主催、キャリア教育ワークショップの第2回に参加してきました。

「これからのライフスタイルにあった会社とは?」と言う命題に対し、「自分の特性や強みなど浮かび上がらせ、それらを活かす新しい会社を考えよう」という試みのワークショップ。今回の参加メンバーはほとんどが大学生で、図案屋は社会人ゲスト枠での参加でした。

参加者各自で自分自身を振り返った後、最後にミニプレゼンを行うという流れで進行していったのですが、大学生のみなさん達の様々な意見や視座に触れ、「今までの経験や実績に正解のヒントがある」と言う思い込みに陥っていたことに気づかされました。

現在当たり前のように「常識としている仕事の流儀」の中に、社会の閉塞感や硬直化を促進する「素地」みたいなものが潜んでいるのではないか?

現実進行形の社会と、今まで一般的とされてきた社会通念との齟齬。最近、僕自身が団塊世代の方々に何となく感じ始め上手く説明できなかった「違和感」や「感覚のずれ」を考察する良い機会になりました。



1) 大学生の意見から見えてきたモノ
---------------------------------------------------------------

University of Cincinnati Students visit Consulate
University of Cincinnati Students visit Consulate / US Mission Canada



大学生のみなさんの発表から出てきた意見を整理すると

閉塞感がある会議は嫌いだ
答えが決まっている会議。変わらないことこそリスク

仕事を通して社会課題が解決できる会社
課題を通して社会とつながる欲求

縦割りの管理体制に疑問
水平統合的マネージメント。命令より共感・協働重視


これらの意見は、僕より上の世代の方たちには「伝統的な企業社会のしきたりを無視した若者の戯言」として受け取られそうですが、大学生のみなさんは人と協働することにはNOの態度は取っていません。物事を動かしていく協働な体制は必要と思っていますし、社会課題を解決する仕事にやりがいを見出しています。

見方の違いは、世代間別の様々な環境や要因・立ち位置が関係しているのでは?と考え、3つ世代を8つの価値項目で整理してみました。


ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」

世代間別に様々な価値のカタチを並べ眺め、世代間のギャップという断絶的な捉え方ではなく、時代の変化・連続性の中でつながっているという視点で再考しいろんな気づきを得ることができました。どの世代も自分が過ごした時代背景に影響を受け価値形成をしているのがよくわかります。

私の父の世代は戦後、モノが無かった時代です。当然モノを増やしていくことに価値を見出します。働き方もこれに追従していきます。続いて僕たちの世代。モノが社会に行きわたり揃えていくことよりも消費をすることに価値を見出していきます。消費行動が暮らしでも仕事で基軸になりました。

では大学生のみなさんたちはどうか?モノも溢れている。そのせいかモノ消費に対しての興味が薄い。それよりもこれから直面する社会課題に対して高い関心を感じています。僕らの学生時代とは未来に対する考え方が違います。



2) デジタルネイティブ世代とのギャップ
---------------------------------------------------------------

At the computer
At the computer / Lars Plougmann


彼らの意見に耳を深く傾けながら考えてみると、彼らの感じている体制への違和感は甘っちょろい感情論ではなく、どうやら会社内における「組織内情報の流れ方」に違和感を感じているようです。

管理をする立場の人は権限と情報を持っています。「報告・連絡・相談」等の情報は「情報を入手する地位」を持つ管理者を介して社内外の利害関係者へアウトプットされていきます。中継し管理する人に情報が集中する構造です。情報が拡散し同時共有できるソーシャルメディアなどの機能とは全く違います。

大学生の彼らはインターネットの普及と共に育ってきたデジタルネイティブ世代。情報の中継ならばコンピューターの方が早くて正確だとその効果と情報の流通の構造を良く知っています。ソーシャルメディアを普通に扱う彼ら側から見ると組織内情報は扱いにくいと感じているようです。情報のフローとストック。扱い方がまるで違います。

垂直統合型の構造では一次情報が広がることはなく中継点のたびにリスク矯正されていきます。実務経験が長い人が判断することは正しい反面、それから外れることを嫌い同じような情報ばかりが集まってくる傾向に陥る。

一番恐ろしいのは、変化していく社会環境とのずれ。
組織内情報のガラパゴス化です。


反対に僕ら世代以上はネット社会に対し、人間的な情念が存在しない人と向き合っていないバーチャルな世界とひとくくりにしてしまいがちです。特にソーシャルネットワークを上手く使えていない地方はその傾向が強いです。

しかし彼らと話すと良く解るのですが、彼らなりのコミニティがちゃんと存在しています。ソーシャルメディアを使っている方は解ると思いますが、このコミニティで共感を得ない行為は阻害されていきます。決してコミニケーションを軽視した閉じた世界ではありません。

考えてみれば僕ら世代のITのリテラシーのキーワードはこのテクノロジーをいかに使いこなすか?ですが、デジタルネイティブ世代は物心ついた時からインターネットのサービスを利用してきています。

彼らは僕ら世代みたいに「身につける」というという感覚より「自然に身についた」といったスタンスです。使いこなし度が違うのは当然です。



3) 社会との関わり方が変化している時代
---------------------------------------------------------------

2009 - October 14 - NodeXL - Twitter Network MWA09 Followers
2009 - October 14 - NodeXL - Twitter Network MWA09 Followers / Marc_Smith


新しいコミニケーションのインフラを手に入れた彼らは、職縁や地縁といった伝統的社会への関心が高くありません。しかし、コミットメントすべき対象が「エリア」「会社」から「目的」「動機」などへシフトしているだけで社会参加への意欲は決して低くない。

企業活動や地域活動と言った職縁や地縁中心とした従来型のコミニティではなく、自分達が価値を感じる「活動」を中心に置くコミニティーで社会参加を実現していくスタイル。僕ら世代以上はそのことが理解し難いようです。

ただ考えるべきは、様々な要因が絡み合い企業活動や自治体の行政活動だけでは社会はもたなくなりつつあることです。人口は減り高齢化社会が到来することは予測ではなく近い未来必ず訪れる現実問題です。規模経済に頼った方法で社会を支えることは難しいでしょう。

国内の規模縮小現象とグローバル化などで企業もまた海外に打ってでるか規模を縮小していくことになると思います。とうぜん従来型の雇用量は生み出せません。企業で働く以外の道を確保しなければなりません。

働く=雇用
その概念を捨てなければいけない時代なのかもしれません。


この状況下では、残念ながら団塊の世代や僕ら世代の成功体験は通用しません。社会の状況が成功当時とあまりにも違います。若者に対して働き方に関するアドバイスは必ずしも有効かつ効果的とは言えないでしょう。もちろん技術などのノウハウは大いに継承すべきです。

しかしながら働き方については今後参考にならないでしょう。今後人口が増え規模が拡大するとは考えにくいからです。日本においては明治から現代までの約130年の間に人口が急激増えています。むしろこの期間の人口増加が特異だったのかもしれません。

ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」


今後の人口の規模・サイズに合った経済や企業活動。それに伴う働き方を構築していかなければいけないと図案屋は考えます。諸説あるので一概には断定できませんが、日本の国土面積・農作物の作付面積などから割り出すと日本の適正人口は5,000万人~3,000万人の間だとか・・・

グラフを参考にすると江戸時代の人口ぐらいになりますね。

奇しくも江戸時代は循環型社会として評価されています。現在の経済成長率で測れば高い成長ではありませんが、大量生産・大量消費社会ではなく限られた資源を最大限に活かして経済を維持し文化を発展させた社会構造を持っていました。

もちろん幕府や藩も財政的に厳しかった面もあるので全てが参考になるとは言えませんが、この視点での発想は今後のひとつのヒントになると思います。


 最後に・・・
---------------------------------------------------------------

Queso De Raqueta
Queso De Raqueta / Instant Vantage



ワークショップの最後のカリキュラムは自分が目指す会社やオフィスのプレゼンでした。図案屋もプレゼンしたのですが、仕事と自分の関係を雇用を通して行うのではなく、アライアンス(提携)を核にした働き方を提示しました。仕事というプラットフォームでつながる働き方です。

ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」

人が集まるサービスを作っていく仕事。その仕事を提携スタイルで働ける仕組化。実現に向かって取り組んでいこうと思っています。

まずは、プラットフォームを作ること。ソーシャルな集まりの場「ナレッジカフェ」がその第一歩と考えています。1月開催に向けて着々と準備中です。今日も頼もしい方が参加を表明してくれました。

楽しみがまた一つ増えた図案屋でした。


---------------------------------------------------------------
参考なった情報をご紹介
ソーシャルウェブが拓く未来/フリーランスという働き方について
美味しいコンセプト/博報堂を辞めました
女。MGの日記/上司というだけでは尊敬されない
typocode/最近の中高生(ネオ・デジタルネイティブ)の3つの特徴




―――――――――――――――――――――――――――――――
今後ともよろしくお願い致します


初めて当ブログに訪れた方や
何度か当ブログにお越し頂いている皆様。
もし、ブログの内容を気に入って頂けましたらご登録お願いします。


ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」 Twitterでは企画思考を刺激するようなネタや記事を中心に紹介します。
 みなさん流で当アカウントをご活用下さい。


ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」 記事が役に立ったと感じていただけた方は、
 はてなブックマークをしていただければ嬉しいです


ワークショップで考えさせられた世代間で異なる「仕事の流儀」 このブログの更新情報はRSS でチェック出来ます。
 RSSのご登録をよろしくお願いします。


―――――――――――――――――――――――――――――――







同じカテゴリー(教育・ワークショップ)の記事画像
図案屋流のブログ講座の作り方と考え方
モデルは子供。ママはデザイナー。親子アルバムワークショップ。
育児をしながら表現する。“ママ・ライター”という働き方
6次産業のベンチャー企業を題材にした商品開発ワークショップ
今の教育にはデザイン思考が必要だと思う訳
キャリア教育が地域雇用を救う?
同じカテゴリー(教育・ワークショップ)の記事
 図案屋流のブログ講座の作り方と考え方 (2012-07-07 12:03)
 モデルは子供。ママはデザイナー。親子アルバムワークショップ。 (2011-11-02 12:00)
 育児をしながら表現する。“ママ・ライター”という働き方 (2011-10-22 23:10)
 6次産業のベンチャー企業を題材にした商品開発ワークショップ (2011-10-17 17:15)
 今の教育にはデザイン思考が必要だと思う訳 (2011-10-08 16:00)
 キャリア教育が地域雇用を救う? (2011-08-01 04:35)

Posted by 図案屋  at 02:11 │Comments(0)教育・ワークショップ

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...