2011年07月15日

江戸時代の名プロデューサー

[Teahouse at Koishikawa the morning after a snowfall] (LOC)
[Teahouse at Koishikawa the morning after a snowfall] (LOC) / The Library of Congress


江戸出版界の敏腕プロデューサー 蔦屋 重三郎

前回、くらたまなぶさんの本を紹介しました。
くらたさんは、「じゃらん」など数々の情報誌を生みだしましたが、
今回は遠き昔、江戸出版会の名プロデューサー蔦屋 重三郎さんを紹介します。

蔦谷(つたや)と聞いてTSUTAYAと関係があるのか?
と思われ方も多いと思います。

実は、TSUTAYAさんの創業者である増田宗昭の祖父が
蔦屋重三郎にあやかり名付けし「蔦谷」の屋号で商売を始められたそうです。

そんな蔦谷重三郎さんとはどんな魅力を持ち、
活躍されたのかご紹介したいと思います。


 吉原の“タウン情報誌”で頭角を現す

吉原の町をテリトリーにした貸本屋・・・
それが若き日の蔦屋重三郎の姿である。
(中略)
安永2(1773)年、24歳の蔦重すなわち蔦屋重三郎は新吉原大門口五十間道の左側に書店を構え、『吉原細見』の卸し、小売りを始めた。『吉原細見』は吉原の妓樓、茶屋などを絵地図のように紹介し、そのほか遊女たちの名前と値段も掲載している、今日の『ぴあ』のようなタウン情報誌である。この時代、『吉原細見』は名門の版元・鱗・形屋(うろこがたや)が独占販売し、毎年春秋に改訂版を出していた。蔦重は安永3年の春から改訂版のデータ集めの仕事を引き受けている。貸本業をしていた蔦重にとって、個々の遊女や妓樓や茶屋の人間との密接な関係を生かして、正確な情報を収集することは極めてたやすいことであった。
(中略)
こうした蔦重の働きぶりを、吉原の経営トップの連中が注目していた。当時、吉原は衰退の徴を呈していた。そのことに鋭敏に気づいた人々が吉原を積極的にPRすることを考え始めていた。蔦重はその吉原PR戦略の尖兵、いわば広告代理店の役割を担わされ、期待されたのである。その意味で蔦重は吉原に育てられたともいえるのだ。

吉原俄(にわか)や吉原桜などといった華やかなイベントが企画され、その際に配られる番付、すなわちプログラム・ブックの製作を蔦重が引き受ける。



タウン情報誌や勢いが落ちてきていた吉原でイベントを行う。
今盛んに、行われている「地域おこし」そのものではないですか!

江戸時代に地域資源(吉原のコンテンツ)を情報化(本)し流通をさせ
最初の「財」を作ったと言われています。

情報の発信の形態・デバイスこそ違いがあれ、
すでにこの時代に情報を使い
ビジネスに活かす手法を編み出した視点は驚くばかりです。

「吉原細見」は遊郭の遊女さんたちを粋な方法で紹介しています。
当時は写真などはありませんでしたから、「遊女さん」たちを「花」で表現。
また、今でいう「江戸MAP」には今でいうカフェ(茶屋)の情報も。
ほんと今でいうタウン誌そのものですね。

だからこそ、吉原の利用者だけでなく
多くの江戸読者に愛される本であったのでしょう。

活版印刷・発明者の「グーテンベルク」が最初に印刷したのは
「聖書」と「地図」の二つであったと言われいます。
いわゆる、「読み物系」と「行動を促す系」

蔦谷重三郎はそ二つを掛け合わせ「情報誌」を
江戸の町に生みだしました。

その情報誌と言う概念を生みだす着想はどこから来たのでしょうか?

蔦谷重三郎は本業が貸本屋で江戸の町を御用聞き・営業しながら
「どんな本が欲しいのか」という情報を収集していたといいます。

つまり「どんな情報が必要とされているのか?」
これらの情報を集積し、ニーズを掴む。

これって立派なマーケティング活動ですよね。
横文字で言うと最新の考え方みたいですが、
丹念に顧客の声を集め分析する。至ってシンプルですね。

そして「必要とされている情報」を編集し伝播する。
なんか、江戸時代版「リクルート」見たいな事業ですね。

また、蔦谷重三郎は面倒見が良かったそうで、
人の才能を見抜く術に長けていたと言われています。

写楽をはじめ曲亭馬琴、十返舎一九など重三郎のプロデュースを受け、
世に出た人たちは人物は数多いです。

蔦谷重三郎がもしいなかったら、
「浮世絵」が世界で注目される機会すらなかったかもしれません。


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Posted by 図案屋  at 20:10 │Comments(0)プロモーション

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