2011年10月31日

ある女性から学んだ通い合うコミュニケーションの大切さ

Listening - Day 3
Listening - Day 3 / ♪ Sleeping Sun ♪



聞く耳を持たないこと。

それは、どんな言葉も受けつけない状態。
メッセージも、連絡も、願いも、報告も届かない状態。
音として言葉は発せられても伝わっていないという状態。
それがどんない素晴らしい情報でも決して伝わることはない状態。

どんなに素晴らしいテクノロジーがあっても
どんなに素晴らしいSNSのサービスがあったとしても
聞く耳を持たない人の前では情報は存在することを許されない。


今までとは、ちょっと違う図案屋・口調でしたが、
今回は僕の過去を振り返りながら
「通い合う大切さ」を教えてくれた人のお話をします


ペンションにやってきたふたり姉妹
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bed making fairy
bed making fairy / originallittlehellraiser


図案屋は20代後半の頃、九州地方のあるペンションで
スタッフとして住み込みで働いていた時期がありました。

そんなある日、ペンションへ二人の姉妹がやってきます。
聞けば、関東から車で乗り入れ九州へやってきたとのことでした。

妹さんの方は、身体自体は健康なのですが
発音・発語だけでなく、歩行や指先動作さえも困難な障害をもった方でした。

お姉さんは、妹さんが外の世界を知ることなく
施設で生涯を終えさせていいのかと思い旅を決意。
この時すでに、ご両親も他界され家族は二人。
強い絆で結ばれたいた姉妹でした。

そして、この姉妹もペンションで働くこととなり
みんなでの共同生活が始まりました。

僕は部屋のベットメイクと掃除を担当していたので
妹さんとペアーを組むことになりました。
彼女をNさんと呼ぶことにします。


共に働き始めた僕とNさん
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242 [painting lady]
242 [painting lady] / eblaser


身体の自由が制限され、言葉も上手く発することができない方と
接するのは初めてな図案屋でした。

正直、仕事を共にできるかどうか不安と疑問でいっぱいでしたが
Nさんの仕事に取り組む姿勢と態度に次第に共感が持てるようになりました。

Nさんと僕は仕事を分担し、全室のベットメイクを僕が担当し
Nさんがピロ(枕)担当に分かれ、お客様へのチェックイン前までには
客室清掃を終わせるという目標を立てました。

幾日か経つと、仕事の成果をNさんに普通に求めるようになり
仕事の仕上げ内容にも厳しく接するようになりました。

後でお姉さんに聞いたのですが
普通に同僚として働き成果を求める僕の態度がNさんは嬉しかったそうです。
聞けば、周囲ができないと勝手に判断し仕事を取り上げられる
ケースが多かったからだそうです。

そんなある日、僕はNさんが「絵」を描く趣味があることを知ります。

僕は彼女に、
「不自由なモノがあるからこそ、僕らが感じることができない
何かを感じ絵に表現できるかもしれないね」
と伝えたことがありました。

その夜、彼女が号泣したことをペンションのみんなから聞き
「まっずいなぁー。いらんこと言ったかなぁー」と思い
恐る恐るお姉さんにどんなでした?と伺ってみました。

「全然。むしろものすごく喜んでいたよ。うれし泣き!」

絵はNさんにとって不自由な体を使った唯一の表現方法。
彼女の中で何かスイッチが入ったようだっとお姉さんはそう話してくれました。

それからでした。
聞きとることができなかった彼女の言葉が解るようになっていきました。

いえ、正確に言うと
「伝えようとしていること」が理解できるようになりました。

この体験は、当時の僕には驚きでした。


通い合うコミュニケーション
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hug
hug / Aunt Owwee


なぜ、理解できるようになったのか?

手話を練習し習得した訳でもないし
ましてや、テレパシーなんかができた訳ではありません。

そのことについて、
当時の僕には上手く言葉にできなかったのですが
今はこう思っています。

伝いたいと思う気持ちと
理解したいという気持ちがあれば互いにあれば
コミュニケーションは成り立ち意思が通い合う状態になる。

言葉と言う情報インフラを頼ることなく
相手が伝えたいと思う、情報に受信者側がアクセスを許可し
ダウンロードを行うみたいな感じ。

メールのやり取りみたいに言語に頼らない情報伝達。
先方から送ってくるだけでなくて
こちらからも情報を入手しに行く姿勢をとり
情報を「通い合せる」状態。

これって今SNSの世界で言われている「情報の双方向性」ってやつですよね。

僕とNさんとの間に、様々な状況が上手く重なり
共感のフィールドを共有できたからこそ意思のやり取りが可能になった。
今はそう理解しています。

「伝えたい」「理解したい」が同時に存在できる
プラットフォームができれば情報は流れていくことを僕はこの時学びました。

共感のプラットフォームが築けなければ
いくら言葉を扱うことが上手くても
通い合うコミュニケーションは生まれない。そう思います。


今もその時の出来事を大切にしています
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looking up
looking up / ND Strupler



Nさんと過ごした日から5年後だったと記憶しています。

その出来事から5年ほど過ぎたある日、ぺンションのオーナー夫妻から
居住していた施設の火事に巻き込まれ、Nさんが亡くなった話を聞きました。

僕はその事実に驚き、言葉を失ってしまい
呆然としながらも涙は流れる。そんな状態でした。

Nさんは、コミュニケーションの極意は
「通い合うこと」だという気づきを与えてくれた恩人でした。

僕は今でも、周囲と上手く連携が取れずに、仕事が思うように運ばない時
Nさんを思い出し彼女との出来事へフィードバックする時があります。

人と人がつながるサービスを考える時
彼女から教わったことをおざなりにしてはイケいない・・・

そう思う図案屋でした。


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Posted by 図案屋  at 12:00 │Comments(0)PR・コミュケーション

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